人気ブログランキング | 話題のタグを見る

シブヤ大学ココロゼミと連動したブログです。


by kokolo-zemi
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

第5回ココロゼミレポート!!!(やっとこさっ!うんとこしょ=3)


初参加!
初レポート!
こんな光栄なことってないわぁ~(笑)
だいぶお待たせしましたが、今回のレポートです(^-^)☆

今回は訪問看護師のHさんに来ていただき、みっちり3時間、質疑応答や事例も含めた貴重なお話しをしていただきました。

冒頭、「Hさんにとって“死”とは?」という質問にこう答えてくださいました。
「みんな産まれたときからそこに向かって生きている。患者さんは、その先を行く先輩。“ショック”というより“見送る”という気持ち。その死をよりいいものにする、最期を手伝うお仕事」
この言葉に、Hさんの仕事に向かう姿勢が凝縮されているように感じました。

~質疑から~
最初に一人ひとりからの質疑に答えていただいた中に、たくさんの貴重な視点があったので、そのいくつかを簡単にご紹介します。
Q1:ターミナルの方と接し、それを見守る中で、これからの生き方に対しての知恵などがもしありましたら。
A:とにかく、家族は大切にしていた方が。嫌なことも少しは受け容れ、できるだけ言いたいことは言える関係になっていると、最期も後悔少なく、比較的より穏やかに受け容れられるように感じます。

Q2:患者さんが嫌がる、でもやらなくてはいけないことは?
A:病院では、他の患者さんとの整合性を図るために一定“やるべきこと”を共通理解の上やらなければならないこともありますが、在宅は基本的に患者さん側の希望が最優先です。

Q3:今までで一番嬉しかったことは?
A:患者さんの家族に、「楽しく介護ができたよ」と言って頂いたこと。

Q4:男女の差でのターミナルにおける心境の変化とかはありますか?
A:男女の差はないが、世代の差はある。特に90代の方は生死への構えが違う。後は、農業などの自然産業に携わっていて、命の営みに接する機会が多い方は比較的揺れない傾向にあります。

Q5:目指したい方向と、やらねばならぬことの葛藤は?
A:医者の思いなのか、本人の思いなのか、誰の思いなのかをはっきり見極めていくことが大切。

Q6:何の制限もなしに自由にやっていい環境になったらどんなことをしますか?
A:今までとあまり変わらない。がんの患者さんには制限なくナースが入れるようになっているので、その点においては恵まれていると思います。家庭がやりたいようにできるような環境を整えるサポートをしていきたいと思います。
~ケースから~
・・・お話の中で、具体的な事例を挙げて話していただきましたが、その中には、本人をはじめ、本人を取り巻くご家族の方の思いや葛藤もリアルに感じられました。

 例えば、在宅なので、その本人を取り巻く身の回りのお世話に対して、家族は「できるかぎりしてあげたい」「しなきゃいけない」「(本人に)我慢させて悪い」という気持ちを抱えている。一方それを継続することの負担感も感じており、その間で葛藤をしている。また本人も言いたいことが言えなかったりという家族関係を、Hさんが入ることで負担感を軽くしたり、お互いの意思疎通がはかれ、心から家族が向き合えたという話をしてくれました。

 また、他のケースでは、患者さんからの要求が一見無理そうなことでも、すぐに「無理です」と言うのではなく、まずはその要求に関心を持って、聞く耳を持って動くこと、そして、小さな一歩でも、その目標に向かっての第一歩をまずやってみること、これが患者さんにとっては「できる・できない」よりも気持ちの面でとても大切だということを話してくれました。

 Hさんは、こうも話してくれました。
「死に向かう人」ではなく、「社会に生きる人」として接するということ。
「どこかかわいそうだから」という気持ちで寄り添うのは違うと。
「いろいろな看護士さんがいるけれども、私は“優しさ”を、というよりも、“必要なことを見極めて必要なことを提供”それが看護師かなぁ」と、語ってもくれました。

~感じたこと~
“死”。
それを取り巻くさまざまな人、環境、心境。
「“死”をよりよいものにするために・・・」という仕事人、Hさんが大切にしていること、それは、その人が、しっかりと今の自分と向き合い、より心豊かに、穏やかに在れることをサポートするということなのかなと思いました。そのために、その人を取り巻く家族関係などの人間関係において、心からの疎通を図るお手伝いだったり、その人と向き合うことだったり、物理的なことの案内などがある。
そして、その人や家族を思う気持ちを根本に持っているからこそ“大切なこと””必要なこと“が見えてくる。
ただ“優しい”だけが、本当にその人にとって必要なことかは疑問。
その人がその人らしく在れるために、今“必要なこと”を提供するのが、本当の“優しさ”なのかもしれないとも感じました。
そして、“死”という人生の最期の瞬間に、今までの生き方や、築いてきたものがあらわになるんだなぁとも。
今回は、ターミナルケアについて学ばせてもらいましたが、結局は人生を生きるうえで大切なことと、それは“死”と向き合う瞬間もあまり変わらないんだということも同時に実感しました。逆に言えば、“死”という最期を感じるからこそ、今をどう生きるべきかが感じられる、そんなことを強く感じた3時間でした。

貴重な時間を、ありがとうございました!!!                  
加藤 緋登美

by kokolo-zemi | 2008-06-28 23:37