シブヤ大学ココロゼミと連動したブログです。


by kokolo-zemi
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緩和ケア病棟見学レポート


せっきーによる病院見学の際のレポートです。
アップが遅くなってごめんなさい><
ずっしり中身の濃いレポートでございますっ

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7月6日(日)14:00に日赤医療センターの緩和ケア病棟に見学に行ってきました。
到着してから少し時間があったので、ボランティアの人が育てたというハーブを見に行きました。小さな中庭に何種類ものハーブが植えられています。パイナップルミント、ローズマリーを触ってみました。手に強い香りが残り、感動です!

病院を見ていると、なんだか懐かしい感じがしました。小さい頃に祖母が入院していた病院に似ています。病院特有のあのちょっと暗い感じです。建物が古いからかもしれないな、と思いながら緩和ケア病棟に行くと…なんだか別の病院のようでした。壁が新しく真っ白で、床はフローリングでかなり明るい色になっています(緩和病棟以外は薄い灰色です)。七夕が近いので笹が飾られ、短冊にはそれぞれの願いごとが書かれていました。

短冊を見て小学生時代を思い出していると、秋山修先生(ゼミ長のお父さん)登場!知的な感じがするのに、かなりキュートです。多目的室に通していただき、緩和ケアについてのお話を伺いました。

緩和ケアの現状と日赤病院の取り組み
①緩和ケアの対象が狭い
緩和ケアの対象は、現状ではがん患者がほとんど。アメリカでは、エイズ、神経難病(心臓の筋肉が弱い人、超高齢者等)も含まれるが、やはりがん患者が多い。日本では、清瀬の東京病院に“エイズホスピス”があるが、エイズ脳症を発症した人が入ることがほとんどで、実際は半数ががん患者。
また、WHOでは“治療開始の頃から緩和ケアを受けられる”と定義しているのに、現状では緩和ケアの対象=治癒困難な病気となってしまっている。

②費用の問題がある
患者側
緩和ケアは苦痛を取り除く医療であるはずなのに、経済的負担が大きいために逆に社会的苦痛になってしまっている。イギリスやアメリカではキリスト教の精神があり、寄付が集まるため個人の負担がなく緩和ケアを受けられる所が多い(日本では個人負担がない病院は2箇所だけ)。

病院側
日赤医療センターでは抗がん剤は使っていない。医療費が37,800円と決まっているので、抗がん剤のような高い薬を使うと経営が成り立たない。
患者の個人負担を無くしたいが、そうなると人件費を減らすか寄付に頼らないと病院が存続していけない。人件費を減らすといい医療を提供できない。


③霊的苦痛を取り除くのが大変
【霊的苦痛に関する参考図書:村田ひでゆき『哲学からの分析』】
日赤医療センターの取り組み
・態度価値(人に対する愛情を一番価値のあるものとして捉えること)を前提とする。
【態度価値に関する参考図書:ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』】

・患者さんの生きてきた価値を見直す
例えば、患者さんがずっと主婦だった人ならば、その人が料理や家事をしてきたことで家族にどれだけ貢献してきたか、そのお陰で家族が健康でいられたんじゃないか、というその人自身の価値を一緒に見つめ直す。また、趣味をほめることもあり、書道が出来る人であれば病院内で作品展をして、周りの人とも分かち合えるようにしている。

・チームケアをする
家族、看護師、医者が水平の関係(上下関係をつくらない)で意見を言い合えるようにしている。色々な世代の人が関わった方がいい(日赤医療センターの患者は、20代~90代)。

・家族ケアだけでなく遺族ケアもする
49日、亡くなって1年経った時に手紙を送っている。また、1年に1度家族会を開いている(前回は50家族が参加)。

質問タイム
緩和ケアの現状と日赤医療センターの取り組みについてのお話を伺った後、秋山先生にいくつか質問させて頂きました。
Q.社会的苦痛と霊的苦痛の境目は、どのように線引きしているか?
A.あまりはっきりとは分けていない。霊的苦痛もあるかもしれないと意識するようにしている。

Q.患者さんと分かり合おうと思っても、どうしても苦手な人がいた場合はどうしているか?
A.お金をたくさん稼いだことを自分の生きてきた一番の価値としているような、価値観が合わない人も確かにいるが、出来るだけ理解するようにしている。

Q.大部屋の患者さん同士で、トラブルになるようなことはないか?
A.自分が入っている宗教の勧誘をする人がいた。それは禁止している。

Q.薬以外の方法で治療しようとする患者さんに対して、どのように対応しているか?
A.アガリクスや漢方などをやる人もいるが、自分で用意している。自己責任としているので口出しはしないが、漢方などを煎じる時はかなり臭いのでそれは家でやってもらっている。
Q.秋山先生のストレス解消法は?
A.散歩をすること。井の頭公園が近所なので、よく散歩している。

Q.そもそも、どうして緩和ケアの先生になろうとしたのか?
A.呼吸器科にいたが、体や心の痛みを訴える人が多かったので興味を持つようになった。日赤医療センターが精神科をやめると決定した後、タイミングよく寄付してくれる人が現れた。たくさんの署名も集まり、短い期間で実現した。

お話を伺っていたら、あっという間に1時間以上が過ぎていました。その後、緩和病棟内を案内して頂きました。

緩和ケア病棟の設備
展望風呂 - 予約すれば入れる。大きな浴槽なので、家族全員で入れそう。
特殊入浴室 - 浴槽の床が上がるので、ベッドから容易に移動。窓から富士山が見られる!
ナースステーション - オープンカウンターになっている。
食堂ホール - キッチンコーナーがあり、ピアノが置いてある。
病室の廊下の壁に貼る個人名のプレート - 名前を出していいかを確認してから出している。
床 - 弾力がある床にしており、転んでも怪我する可能性が低い。
証明 - 間接照明を採用。ライトも直接目に入らない光にしている。
個室の病室 - 飲酒可能。
ラジカセ、CD、DVD - 患者さんが借りられるように用意されている。
スタッフ - 医者2.5名、ナース17名(患者も17名なので、1対1ということ。これはかなり優秀)他に薬剤師や音楽療法士、ソーシャルワーカーやたくさんの人がボランティアとして関わっている。

感想
病棟内を見学した時、食堂ホールが一番気になりました。角部屋なので、広い大きな窓に囲まれていて、たくさんの家族が集まっていました。キッチンコーナーで食べ物を温めている方もいました。食堂ホールでは、ピアノとオーボエのコンサートが開かれることがあるそうです。
秋山先生のお話の中で、「アットホームな雰囲気を大切にしている」というお言葉がありましたが、十分にその雰囲気を感じました。
廊下に何枚も飾ってある絵は、ほとんどが寄付されたものだと知りました。緩和ケア病棟も寄付がなければおそらく実現しなかったと思います。患者さんに望まれている緩和ケアを実現させるためにはたくさんの資金が必要ですが、今の制度では患者サイドがかなりの負担を背負うか、寄付に頼らなければならないことを感じました。
今後、緩和ケアがどんどん広まり、誰でも望めば受けられるような医療になればいいと思います。
秋山先生、貴重なお話をたくさん聞かせて頂きありがとうございました。

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せっきーレポートありがとうございました!!

そいではーー!!
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by kokolo-zemi | 2008-09-23 15:58